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ロマン・ロラン読書案内
 主な邦訳と評伝・研究書(比較的入手しやすいもの)
【全集】
『ロマン・ロラン全集』(第三次)全43巻 みすず書房
青年期の習作から代表的な小説・戯曲に加え、伝記、音楽研究、日記、自伝、膨大な書簡まで幅広く収録した全集。数十年前の翻訳のため、現在ではあまり使われない文語も出てきますが、岩波文庫等に抵抗がない人なら問題なく読みこなせると思います。

(全集内容)
第1巻 小説1 ジャン=クリストフ1(片山敏彦訳)
第2巻 小説2 ジャン=クリストフ2(片山敏彦訳)
第3巻 小説3 ジャン=クリストフ3(片山敏彦訳)
第4巻 小説4 ジャン=クリストフ4(片山敏彦訳)
第5巻 小説5 (宮本正清訳) コラ・ブルニョン/ピエールとリュース/クレランボー 戦時の一人の自由な良心の物語
第6巻 小説6 魅せられたる魂1(宮本正清訳)
第7巻 小説7 魅せられたる魂2(宮本正清訳)
第8巻 小説8 魅せられたる魂3(宮本正清訳)
第9巻 戯曲1 聖王ルイ(片山敏彦訳)/アエルト(波多野茂弥訳)/時は来らん(片山敏彦訳)/ロラン リュニェ=ポー往復書簡(小島達雄・西村太一訳)
第10巻 戯曲2 フランス革命劇1 花の復活祭(蛯原徳夫訳)/七月十四日(宮本正清訳)/狼(波多野茂弥訳)/理性の勝利(波多野茂弥訳)/愛と死との戯れ(片山敏彦訳)
第11巻 戯曲3 フランス革命劇2 ダントン(波多野茂弥訳)/ロベスピエール(宮本正清訳)/獅子座の流星群(片山敏彦訳)/民衆劇論―新演劇に関する美学的試論(宮本正清訳)
第12巻 戯曲4 敗れし人々(宮本正清訳)/モンテスパン夫人(村上光彦訳)/リリュリ(宮本正清訳)/機械の反抗―解き放たれた思想(蛯原徳夫訳)/三人の恋する女(波多野茂弥・小笠原佳治訳)
第13巻 戯曲5 オルシーノ(森孝子訳)/バリオーニ一族 12景から成る叙事劇(波多野茂弥・玄善允訳)/カリグラ(小島達雄・三野博司訳)/ニオベ(三木原浩訳)/マントーヴァの包囲(宮本正清訳)/ジャンヌ・ド・ピエンヌ(加藤行立訳)
第14巻 伝記1 ベートーヴェンの生涯(片山敏彦訳)/ミケランジェロの生涯(蛯原徳夫訳)/トルストイの生涯(宮本正清訳)/ミレー(蛯原徳夫訳)/マハトマ・ガンジー(宮本正清訳)
第15巻 伝記2 (宮本正清訳) ラーマクリシュナの生涯/ヴィヴェカーナンダの生涯と普遍的福音
第16巻 伝記3 (山崎庸一郎・村上光彦訳) ペギー
第17巻 自伝 回想記(宮本正清訳)/内面の旅路 一生涯を回想する精神の夢(片山敏彦訳)/幼時の思い出(蛯原徳夫訳)
第18巻 エセー1 戦いを超えて(宮本正清訳)/先駆者たち(山口三夫訳)/闘争の15年(1919-1934年 新村猛・山口三夫訳)/革命によって平和を(蛯原徳夫訳)/解説(山口三夫著)
第19巻 エセー2 《政治論2》いかにして戦争を妨げるか?(山口三夫訳)/新聞・雑誌掲載論文、メッセージ、アピール等(山口三夫ほか訳) 《芸術論》演劇について(波多野茂弥ほか訳)/真であるがゆえに私は信じる(蛯原徳夫訳)/アグリゲンツムのエンペドクレス(宮本正清訳)/道づれたち(宮本正清訳)/ジャン=ジャック・ルソー(蛯原徳夫訳)/ガブリエレ・ダヌンツィオとドゥーゼー思い出(蛯原徳夫訳)
第20巻 芸術研究1 近代音楽劇の起源―リュリおよびスカルラッティ以前のヨーロッパにおけるオペラの歴史(戸口幸策訳)/ミケランジェロ(上田秋夫・山口三夫訳)/16世紀イタリア絵画の凋落(佐々木斐夫訳)
第21巻 芸術研究2 (野田良之訳) ありし日の音楽家たち/今日の音楽家たち
第22巻 芸術研究3 過去の国への音楽の旅(蛯原徳夫訳)/ヘンデル(高田博厚・蛯原徳夫訳)/ベートーヴェンの「不滅の恋人」―マリアンネ・ツェッケへの手紙(蛯原徳夫訳)/スタンダールと音楽(波多野茂弥訳)/プリュニエール『新音楽史』への序文(蛯原徳夫訳)
第23巻 芸術研究4 (佐々木斐夫・片岡美智訳) 《ベートーヴェン偉大な創造の時期1》
第24巻 芸術研究5 《ベートーヴェン偉大な創造の時期2》 復活の歌―『ミサ・ソレムニス』と最後のソナタ群(吉田秀和訳)/ベートーヴェンの恋人たち(蛯原徳夫訳)/ベートーヴェンへの感謝(片山敏彦訳)/ベートーヴェンが好きでない一女性への手紙(蛯原徳夫訳)
第25巻 芸術研究6 《ベートーヴェン偉大な創造の時期3》 第九交響曲(蛯原徳夫・北沢方邦訳)/後期の四重奏曲(吉田秀和・山本顕一訳)/フィニタ・コメディア(佐々木斐夫・原田煕史訳)
第26巻 日記1 ユゴーの死ほか(1885年 蛯原徳夫訳)/ユルム街の僧院(1886-1889年 蛯原徳夫・波多野茂弥訳)/ドイツ旅行・イギリス旅行ほか(1897-1906年 山口三夫訳)/スペイン旅行(1907年 蛯原徳夫訳)/『ジャン=クリストフ』から『コラ・ブルニョン』へ(1912-1913年 山口三夫訳)
第27巻 日記2 戦時の日記1(片山敏彦ほか共訳)
第28巻 日記3 戦時の日記2(宮本正清ほか共訳)
第29巻 日記4 戦時の日記3(蛯原徳夫ほか共訳)
第30巻 日記5 戦時の日記4(蛯原徳夫ほか共訳)/《解説》運命と闘うロマン・ロラン(村上光彦著)
第31巻 日記6 インド―日記(1915-1943年 宮本正清・波多野茂弥訳)/インド補遺(宮本正清訳)/日記抄 1919-1920年の日記(蛯原徳夫訳)/ベートーヴェン百年祭のためのウィーンへの旅(1927年 村上光彦訳)/ゴーリキー邸滞在記(1935年 蛯原徳夫訳)
第32巻 書簡1 マルヴィーダ・フォン・マイゼンブークへの手紙(1890-1903年 宮本正清・山上千枝子訳)/ルイ・ジレ=ロマン・ロラン往復書簡(1897-1943年 清水茂訳)
第33巻 書簡2a (宮本正清・山上千枝子訳) 《母への手紙1》ローマの春/ファルネーゼ宮へ還る
第34巻 書簡2b 《母への手紙2》母あての手紙(1886-89年 蛯原徳夫訳)/私は危険になりはじめた(1914~16年 宮本正清訳)
第35巻 書簡3 (宮本正清・山上千枝子訳) したしいソフィーア(1901-1932年)
第36巻 書簡4 どこから見ても美しい顔(宮本正清訳)/日本人への手紙(蛯原徳夫訳)/レジスタンスの闘士への手紙(蛯原徳夫訳)
第37巻 書簡5 《二人が出会う》ジャン・リシャール・ブロック=ロマン・ロラン往復書簡(1910-1918年 宮本正清・山口三夫訳)/《フロイライン・エルザ》エルザ・ヴォルフ宛て(1906-1916年 宮本正清・山上千枝子訳)
第38巻 書簡6 (山口三夫訳) アルフォンス・セシェへの手紙(1903-39年)/ジュール・ベルトーヘの手紙(1905-16年)/「ラ・ヴォーチェ」グループへの手紙(1908-26年)/.チャーリー・ブーヴィアへの手紙(1910-13年)/シュテファン・ツヴァイクとの往復書簡(1910-40年)/シャルル=フェルディナン・ラミュへの手紙(1911-24年)/アルフォンス・ド・シャトーブリアンとの往復書簡(1911-37年)/カール・シュピッテラーとの往復書簡(1914-24年)/アドルフ・フェリエールとの往復書簡(1915-44年)/ジャン・ド・サン=プリへの手紙(1917-19年)/マルグリット・オードゥーへの手紙(1921-26年)/ジャン・ボダンへの手紙(1924-28年)/「ユロップ」編集委員との往復書簡(1925-36年)/ハインツ・ヘーベルリンとの往復書簡(1926-40年)/シャルル・ボードゥアンへの手紙(1926-33年)/ヴィクトール・バッシュへの手紙(1926-38年)/ロベール・マンデールへの手紙(1927-31年)
第39巻 書簡7 挨拶と友情―アランとロマン・ロランの往復書簡・テキスト(1907-1938年 山崎庸一郎訳)/岸から岸へ―ヘルマン・ヘッセとロマン・ロランの往復書簡・日記(1914-1951年 清水茂訳)/伯爵様―ロマンとトルストイ(蛯原徳夫訳)
第40巻 書簡8 R・シュトラウスとロマン・ロラン(片山昇訳)/リヒャルト・シュトラウスの思い出(片山昇訳)/善き隣人(片山寿昭訳)
第41巻 書簡9 (山口三夫訳) 《精神の独立―ジャン・ゲーノ=ロマン・ロラン往復書簡(1919年7月―1945年1月)/《偉大な良心》ジャン・ゲーノ著
第42巻 書簡10 (蛯原徳夫訳) タゴールとロマン・ロラン(1919-1922年)/ガンジーとロマン・ロラン(1923-1939年)
第43巻 雑纂・評伝 《初期の戯曲その2》エンペドクレース(未定稿 波多野茂弥・西村太一訳)/サヴォナローラ(断片およびノート 波多野茂弥訳)/ルイ・ド・ベルカンの最終裁判 1527-29年(山口三夫訳)/フィレンツェ日記抄 1910-11年(蛯原徳夫訳)/他の著作への序文・雑纂(蛯原徳夫訳) 《評伝》ロマン・ロラン(ジャック・ロビシェ著 蛯原徳夫訳)


【個別作品】
全集に収録されている訳がほとんどですが、値段も本の大きさも手ごろな岩波文庫は入門に最適でしょう。豊島訳の『ジャン=クリストフ』は味わい深い名訳。青年ロランが「第二の母」「勇気をまなぶ偉大な学校」と呼んだ老理想主義者マルヴィーダとの往復書簡は必読です。

『ジャン=クリストフ』豊島与志雄訳 岩波文庫ほか
『魅せられたる魂』宮本正清訳 岩波文庫ほか
『愛と死との戯れ』片山敏彦訳 岩波文庫ほか
『獅子座の流星群』片山敏彦訳 岩波文庫ほか
『ベートーヴェンの生涯』片山敏彦訳 岩波文庫ほか
『ミケランジェロの生涯』高田博厚訳 岩波文庫ほか
『トルストイの生涯』蛯原徳夫訳 岩波文庫ほか
『ミレー』蛯原徳夫訳 岩波文庫ほか
『ピエールとリュース』宮本正清訳 みすず書房ほか
『第九交響曲』蛯原徳夫・北沢方邦訳 みすず書房
『ロマン・ロランの母への手紙』宮本正清訳 みすず書房
『ロラン=マルヴィーダ往復書簡(1890-1891年)』ベルタ・シュライヘア編/南大路振一訳 みすず書房


【箴言集】
いきなり名言集の類に手を出すのは好ましくないと思います。ロランの作品を読むきっかけになるならいいのですが。

『ロマン・ロランの言葉 (人生の知恵)』山口三夫訳編 彌生書房
『ロマン・ロランの言葉と思想』新村猛編 講談社現代新書
『愛すること・生きること―ロマン・ロランの言葉』蜷川譲訳編 社会思想社


【評伝・研究】
ロランの作品をいくつか読んでみて、作者がどんな人物だったのか興味が湧いてきたら手を伸ばしてもいいかもしれません。最も新しく出た評伝は、デュシャトレ著の一冊。新資料を踏まえて、全生涯にわたりきめ細かく書き込んでいます。片山敏彦やツヴァイクの評伝は、ロラン本人と交流があっただけに愛情にあふれており、読んでいて心地よいです。2人とも詩人気質なので、ロランの本質を鋭く見抜いているように思います。

『ロマン・ロラン伝』ベルナール・デュシャトレ著/村上光彦訳 みすず書房
『片山敏彦著作集』第2巻「ロマン・ロラン」 みすず書房
『ロマン・ロラン 思想と芸術』宮本正清著 みすず書房
『ロマン・ロラン 精神の蜜房』清水茂著 小沢書店
『歴史のなかのロマン・ロラン』山口三夫著 勁草書房
『新村猛著作集』第1巻「ロマン・ロラン」 三一書房
『ロマン・ロラン研究』蛯原徳夫著 アポロン社
『ロマン・ロラン』新庄嘉章著 中公新書
『ロマン・ロラン―人生の夢想と行動』蜷川譲著 合同出版
『ロマン・ロラン巡礼 その文学と風土』窪村義貫著 さぶりえ書房
『人と思想 ロマン・ロラン』村上嘉隆・村上益子著 清水書院
『ロマン・ロラン読本』ロマン・ロラン協会編 河出新書
『情熱の人ロマン・ロラン』ツヴァイク著/大久保和郎訳 角川文庫
『ロマン・ロラン』モーリス・デコート著/渡辺淳訳 理論社


【研究誌】
単行本としてまとめられていない研究成果や翻訳も多く、地道に紐解いていく価値がある資料だと思います。

「UNITE(ユニテ)」(現在は第三期)ロマン・ロラン研究所 ※研究所のホームページで公開中
「ロマン・ロラン研究」ロマン・ロラン協会 ※140号で完結。2014年に会の中心だった蜷川譲氏が亡くなり、協会は事実上、解散


【図録】
ロランの肖像や草稿、交友関係、社会の動きなどが豊富な写真で紹介されており、ロランの生きた時代を直観的に理解できます。

「ロマン・ロラン写真集」みすず書房
「ロマン・ロラン展」読売新聞社


【ロマン・ロランをめぐる随筆等】
『ジャン・クリストフの見える丘』蜷川譲著 三笠書房
『パリの宿―日仏文化交流史試論』蜷川譲著 麗沢大学出版会
『ロマン・ロラン賛歌』蜷川譲編著 こぶし書房
『ロマン・ロランの風景』杉田多津子著 武蔵野書房
『ロマン・ロランとともに 愛と平和の泉へ』山口三夫著 リーベル書房


【その他】
『ノーベル賞文学全集』第2巻 主婦の友社
ロランの作品(「コラ・ブルニョン」「ピエールとリュース」「愛と死との戯れ」「ベートーヴェンの生涯」)のほか、アンリ・プチによる評伝や著作目録も収録。なぜロランが受賞者に選ばれたのかという選考経過も詳しく紹介されています。