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ロマン・ロラン関連人物

アンリ・バルビュス
Henri Barbusse
(1873-1935)
 
1873年生まれ。1895年に詩集『泣く女たち』で文壇にデビューし、1908年の小説『地獄』で注目を集めた。第一次世界大戦の勃発とともに41歳で陸軍に志願し、前線でドイツ軍と交戦。戦場体験をもとに反戦小説『砲火』を執筆し、ゴンクール賞を受賞する。

1919年には社会主義的な立場からの戦争批判を作品化した小説『クラルテ』を発表。「知識人のインターナショナル」の形成を目指す「クラルテ運動」を主導する。日本ではバルビュスに直接の薫陶を受けた小牧近江が雑誌「種蒔く人」の創刊に尽力したほか、小林多喜二らのプロレタリア文学運動に大きな影響を与えた。

1922年、象牙の塔に閉じこもるロランディスト(ロマン・ロランの自称信奉者たち)を批判。「ロラン=バルビュス論争」へと発展する。1923年、フランス共産党に入党。1932年にはロマン・ロランらと国際反戦会議を企画し、アムステルダムでの開催にこぎつける。その後も行動的知識人のあり方を示し、1935年8月30日、急性肺炎のため滞在先のモスクワで客死した。



主な邦訳作品

『地獄』岩波文庫ほか
『砲火』
岩波文庫ほか
『クラルテ』
岩波文庫ほか


主な所蔵資料

■自筆署名入り書簡

1921年5月23日付。贈られた冊子に対する礼状で、「クラルテ」の便箋に励ましの言葉を綴っている。文末に自筆の署名。

ル・トラヤ(ヴァール県)1921年5月23日

拝啓

あなたの作品を拝読させていただくことは、私にとって常に大きな喜びです。たった今、ピンク色の小冊子を拝見したところです。道を走破するようにページをめくり、ざっと目を通しました。あなたは永遠の律動と、それを周囲の人々に理解させる卓越した力をお持ちです。あなたは正しい方向に進んでいると思いますし、若さと意志も備えていらっしゃる! そのことを称賛申し上げ、心を込めてあなたの手をかたく握りしめます。

アンリ・バルビュス